「自己破産をすると将来受給予定の年金は貰えなくなってしまうのか?」「現在年金で生活しているが自己破産をすると年金は差し押さえされてしまうのか?」など自己破産と年金に関する疑問は多いものです。
先に結論をお伝えさせて頂きますが、自己破産をしても年金の受給資格が喪失することも年金が差し押さえされることも絶対にありません。
そのため、自己破産で年金が受給出来なくなる心配はありませんが、それでも注意して頂きたい点が2つありますので解説を行いたいと思います。
Contents
自己破産をしても年金は絶対に差し押さえされない
冒頭でもお伝えした通り、自己破産をしても年金が差し押さえされることは絶対にありません。この理由に、自己破産をしても所持が認められる「自由財産」が関係しているためです。
自由財産は以下の3つの種類から構成されております。
- 新得財産:破産手続きの開始決定後に入手した財産
- 99万円以下の現金
- 差押禁止財産:法律で差し押さえすることを禁止する財産(生活費や生活費需品など)
さて、自由財産の3つの内、年金はどれに該当するのか?この点については、年金の受給前と後によって変わりますので一覧にまとめさせて頂きました。
項目 | 自由財産の適用 |
年金受給前 | 破産手続きの開始決定後に入手した財産に該当するため年金の差し押さえはできない |
年金受給中 | 年金は差押禁止財産に該当するため強制執行ができない |
上記の通り、年金受給前は①の新得財産に該当し、年金受給中は③の差押禁止財産に該当することから、年金は絶対に差し押さえされることはないのです。
自己破産をしても年金の受給資格は喪失しない
「自己破産をしても年金が差し押さえされることは絶対にない。と言っても、そもそも年金の受給資格が喪失するようなことはないの?」と疑問に感じる人もいるでしょう。
結論、自己破産をしても年金保険料をしっかりと納付していれば受給資格が喪失することもありません。
この理由に、年金の受給権は破産宣言時の財産処分の対象外となりますので自己破産をしても受給資格を喪失することないのです。この点も法律で保護されておりますので安心できるでしょう。
自己破産と年金の注意点
ここまで、自己破産をしても年金の受給資格を喪失することも差し押さえされることもない。という点から安心感はありますが、それでも注意して頂きたい2つのことがありますのでお伝えしたいと思います。
年金の受給者は銀行口座の凍結に注意
銀行からの借金と年金の受取口座が同じ場合は口座凍結に注意してください。
銀行口座が凍結されると入金は可能ですが出金することが出来なくなります。そのため、年金の受け取り口座が凍結されると生活費の引き落としが出来なくなってしまいます。
また、銀行口座が凍結される理由は、銀行が貸したお金(カードローンなど)を強制的に返済させることが目的になりますので、年金が相殺対象となり生活費が無くなってしまう可能性があります。
ただし、借金の相殺は、自己破産の手続きを行い銀行口座が凍結された時点の預金残高からの相殺になりますので、相殺後に入金されたお金を再度相殺することは禁止されています。
そのため、「相殺後に入金されたお金が無くなってしまう…」という心配は不要ですが、どちらにせよ口座の凍結が解除されるまで引き落としが出来ないので大きな問題になるでしょう。
自己破産をしても年金保険料は免責されない
自己破産をすることで借金は免責(免除)される訳ですが、全ての債務が無くなる訳ではありません。
その理由に、「非免責債権」と呼ばれる免責が出来ない債務が含まれている事があるためです。基本的には、税金や年金などの公的なものや損害賠償請求権などが該当することになります。
従って、年金保険料を滞納している場合は、自己破産をしても納付義務が残りますし、年金保険料を滞納し続けると強制執行の対象となり給与差し押さえなどの処罰が課せられることになります。
そのため、自己破産後も年金保険料は必ず納付するようにしましょう。
まとめ
自己破産と年金の関係について解説を行いましたが、結論、自己破産をしても年金の受給資格が喪失することも年金が差し押さえされることも絶対にありません。
ただし、年金保険料の納付義務は自己破産をしても免責にはなりませんのでしっかりと納付するようにしましょう。また、年金受給中の人は、借金を抱えていない銀行口座に年金の受け取り口座を移行する必要があります。
以上、2つの注意点を守ることで自己破産をしても年金を継続的に受給することが可能になります。
その際、自己破産は非常に複雑な手続きを行いますので「2019年版|自己破産の評判が良いおすすめ弁護士事務所を5社まで厳選」を参照し自分に合った弁護士を見つけましょう。
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