「自己破産をすると会社にバレてしまいクビになるのではないか?」と不安に感じる人も多いことでしょう。
そもそも、自己破産をしたことが会社にバレたとしてもクビになることはありません。また、会社にバレる可能性もゼロではありませんが、特定の条件下でなければ”ほぼバレることはない”と言えます。
とは言え、自己破産をした事実は出来る限り周囲には知られたくないでしょうから、今回は、自己破産をしたことが会社にバレてしまうケースについて解説を行います。
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自己破産をしても会社にバレる可能性は低い
自己破産をすると借金が免責(免除)になることから、どうしても返済が難しい人にとっては、人生をやり直す非常に有効な手段と言えるでしょう。
ただ、世間一般の自己破産のイメージは「全ての財産が没収され仕事もクビになり途方に暮れる」など人生の終わりのようなイメージを持たれているケースが多いと言えます。
このようなイメージから「自己破産をすると会社にバレて仕事が無くなる」という不安が煽られていると言えますが、結論、自己破産をした事実が会社にバレる可能性は極めて低いと言えます。
この理由に、自己破産は裁判所に申立を行いますが、裁判所から会社宛に連絡することはありません。もちろん、債権者から会社に連絡が入るようなこともありません。
さらに、現在導入が進められているマイナンバーに関しても、自己破産を記録することはありませんので、マイナンバー経由で会社に自己破産がバレることもありません。
上記の理由から、自己破産をする多くの人は会社にバレずに免責許可を得て、再生の一歩を踏み出していることから、会社にバレる可能性は極めて低いと言えるでしょう。
自己破産が会社にバレるケース
自己破産をしても会社にバレてしまう可能性は極めて低い。とお伝えさせて頂きましたが「絶対にバレない」という訳ではありません。
では、自己破産をした時に会社にバレてしまうケースはどのような時なのか?バレる危険性が高い3つケースについて解説を行います。
- 会社または会社経由で借入がある時
- 退職金見込額証明書を取得する時
- 官報に掲載される時
会社または会社経由で借入がある時
自己破産には「債権者平等の原則」が適用されることから、特定の債務だけを除外することや返済することは禁止されております。
これを無視して特定の債権者だけに返済を行うと「偏頗弁済(へんぱべんさい)」に適用されてしまい免責不許可事由に該当してしまいます。
従って、会社や会社経由の借金も自己破産の対象となるのですが、当然ながら会社からの借金を踏み倒せば、その事実を会社は把握することになります。また、会社経由の借金についても、窓口を担っている以上は自己破産した事実がバレる可能性が高いでしょう。
会社経由での代表的な借金は「労働組合を通じた金融機関からの借入」や「公務員の共済組合からの貸付」などが挙げられますので該当する方は自己破産がバレてしまうと考えておきましょう。
退職金見込額証明書を取得する時
自己破産の提出書類の1つに「退職金見込額証明書」があります。そして、「退職金見込額証明書」は会社から貰う必要があるのです。
「退職金見込額証明書」を貰うということは、退職を考えている。などネガティブな理由で取得するケースが多いため会社に勘違いされるリスクが懸念されます。
担当部署から「何に使うのか?」と質問をされ”しどろもどろ”になってしまっては自己破産を申し立てするために必要であることもバレてしまう可能性があります。
そのため、用途を聞かれたら「金融機関への融資申請用に必要です」と伝えるようにしましょう。
金融機関に融資の申し込みをする際に、「退職金見込額証明書」の提出が求められるケースもありますので、怪しまれずに済むことでしょう。
官報に掲載される時
自己破産をする時は官報(国が発行する新聞のようなもの)に合計2回掲載されることになります。
この官報は有料ではあるものの、誰でも閲覧をすることが出来るため「周囲に自己破産をしたことがバレるのではないか?」と不安に感じることだと思います。
とは言え、実際のところは、金融関係など一部の職業を除けば、一般の人が官報を見ることは”ほぼない”と言えますのでバレる可能性は極めて低いと言えるでしょう。
ただし、金融関係にお勤めの人は、官報を随時チェックしていることになりますので自己破産がバレてしまう可能性は高いと言えます。
自己破産を避けて督促を無視すると給与差し押さえでバレる
「会社にバレるのは困るので自己破産を避けたい。でも返済は出来ないので無視せざるおえない」という人は、大変危険な状態にあると認識しましょう。
借金の督促を無視し滞納を続けていると、債権者は裁判所に訴訟を起こし「財産差し押さえ」を進めてきます。そして、財産差し押さえで一番恐いのは「給与の差し押さえ」です。
具体的にお伝えすると、裁判所から差し押さえの許可が出ると、裁判所から会社に対して「債権差押決定書」という書類が郵送されます。また、債権者からも会社に対して連絡が入ることになります。
これによって、債務者の給与の一部を強制的に天引きすることになってしまうのです。
要は、「借金が返済出来ずに給与が差し押さえされた事実が会社にはバレる」さらに「給与が差し押さえされた分、収入も下がってしまう」という問題が発生します。
従って、自己破産の事実が会社にバレる方がまだ被害が少なくて済むことから、返済が難しい場合は、早々に自己破産の手続きを進めた方が得策であると言えます。
会社に自己破産がバレても解雇はされない
「自己破産が会社にバレるとクビになり生活が出来ない。結局、給与を差し押さえされてもされなくても状況は変わらないだろう…」と考えている人は少々勘違いをしていると言えます。
実は、自己破産をした事実が会社にバレたとしても、会社は自己破産を理由に解雇することが出来ないのです。さらに、自己破産を理由に解雇を言い渡された場合は「不当解雇」に当たる可能性が高いと言えます。
従って、会社にバレたくないがために借金地獄で苦悩するよりも、バレる覚悟で自己破産をした方がメリットが大きいと言えるでしょう。
会社から借入がある場合は解雇の可能性あり
ただし、会社から借入がある人が自己破産をすると解雇される可能性があります。
会社からの借金を自己破産してしまうと、会社側は残額分を請求することが出来ず損害を被ることになります。従って、自己破産をしたことを理由に解雇する訳ではなく、会社に損害を与えたとして解雇される可能性があります。
もちろん、可能性の話ではありますが、会社からの借金があるような場合は、解雇のリスクについても事前に想定し会社と話し合いをしておくことが望ましいと言えるでしょう。
まとめ
自己破産をした事実が会社にバレる可能性は極めて低いと言えます。
ただし、「会社や会社経由で借入している時」「退職金見込額証明書を取得する時」「官報に掲載される時」についてはバレる可能性もありますので注意してください。
特に、会社からの借金を自己破産する時は、バレるだけでなく解雇のリスクも想定しておきましょう。
とは言え、自己破産せずに借金を滞納し続けると給与差し押さえなどの対象にもなりますので、まずは、借金をゼロにしてから再生の道を探した方が良いことは間違いありません。
その際、自己破産は非常に複雑な手続きが必要になりますので弁護士の力が必要不可欠になります。
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