個人再生後に繰り上げ返済することは可能になります。従って、相続財産などまとまったお金が手に入ればその分だけ早く借金を完済することが出来ます。
ただし、個人再生後の繰り上げ返済は「債権者平等の原則」が適用されることから、特定の債権者だけに返済することは出来ず、債権者全員に同額を返済する必要があります。
また、個人再生直後に繰り上げ返済をすると「返済能力があったのではないか?」と、疑われる原因にもなりますので注意が必要です。
そこで今回は、個人再生後に繰り上げ返済するメリットと注意点について解説を行いたいと思います。
Contents
個人再生後に繰り上げ返済することは可能
個人再生後に繰り上げ返済をすることは可能になります。
その際、住宅ローンの繰り上げ返済は「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つから選択することが出来ますが、個人再生の場合は「期間短縮型」が適用されることになります。
まず、「期間短縮型」と「返済額軽減型」の違いを確認したいと思います。
繰り上げ返済の種類 | 詳細 |
期間短縮型 | 返済期間を短縮させる |
返済額軽減型 | 返済期間は変更せずに毎月の支払い額を減少させる |
住宅ローンの場合は「期間短縮型」を選択することで返済期間が短くなることから利息が軽減されます。しかしながら、個人再生の場合は、返済期間が短くなったとしても利息が軽減されることはありません。
従って、個人再生の場合は、繰り上げ返済をしても金銭的なメリットはないと言えるでしょう。ただし、全くメリットがない。という訳でもありませんので詳細をお伝えしたいと思います。
個人再生後に繰り上げ返済するメリット
個人再生後に繰り上げ返済する金銭的なメリットはない。と言えますが、日常生活では「ブラックリストから情報が削除される点」と「精神的な不安から解放される点」がメリットとして挙げられます。
ブラックリストから早く情報が削除できる
個人再生をすると5年〜10年ほど個人信用情報機関に事故情報(ブラックリスト)が登録されることになります。これによって、クレジットカードが作れないことや各種ローンが申し込み出来ないなど様々な弊害が発生します。
個人信用情報機関名 | 登録期間 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 5年 |
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | 掲載されない |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 10年 |
個人信用情報機関に事故情報が登録される期間は借金完済からとなります。
そのため、個人再生の一般的な弁済期間である3年を加えると、実質8年〜13年程度はクレジットカードが使えないことやローンが組めないことになります。
そこで、個人再生の弁済期間よりも早く完済することで生活制限の期間を短縮することが可能になります。
精神的な不安から解放される
個人再生によって大幅に借金を減額できたとしても、借金を抱えていることには変わりありません。
従って、「自分は借金を抱えている」「借金を早く完済しないと不安」など、常に精神的な負担を感じながら生活することになるでしょう。
もし、繰り上げ返済をする余力があるならば、少しでも早く借金生活から解放されることで精神的にも安定すると言えるでしょう。
個人再生後に繰り上げ返済する場合の注意点
個人再生後に繰り上げ返済することは法的には何も問題ありません。ただし、2つの注意点を守らなければ大きな問題に発展する可能性もありますのでお伝えさせていただきます。
- 債権者平等の原則が適用される
- 個人再生後すぐの繰り上げ返済は疑われる原因
債権者平等の原則が適用される
個人再生後に繰り上げ返済する場合は「債権者平等の原則」を遵守する必要があります。従って、特定の債権者のみに返済するではなく均等に返済を行う必要があります。
個人再生を弁護士に依頼している場合は弁済も弁護士経由で行なっていると言えます。このような場合は、事前に繰り上げ返済の金額について相談することをおすすめします。
また、先ほどもお伝えした通り、金銭的なメリットはありませんので生活に余力がある場合のみ検討する方が良いでしょう。
個人再生後すぐの繰り上げ返済は疑われる原因
個人再生をする人は、返済不能な状態であることから債務を圧縮していると言えます。
従って、個人再生後すぐに繰り上げ返済することは本来不可能である。と言えますが、それにも関わらず、繰り上げ返済ができる場合は「資産をどこかに隠していたのではないか?」などと疑われる原因になってしまいます。
そのため、繰り上げ返済をするタイミングは事前に弁護士に相談の上決定するようにしましょう。
まとめ
個人再生後に繰り上げ返済をすることは可能になりますが、債権者平等の原則を遵守し返済タイミングを事前に弁護士に相談することが重要になります。
繰り上げ返済自体に金銭的なメリットはありませんが、ブラックリストから早く情報が削除される点や借金苦から脱却することができますので無理のない範囲で検討すると良いでしょう。
とは言え、個人再生後も何かと弁護士に相談する機会は多いと言えますので、頼りになる弁護士を見つけておくことは非常に重要になります。
その際、個人再生に強いおすすめ弁護士事務所を「2019年版|個人再生の評判が良いおすすめ弁護士事務所を5社まで厳選」にてまとめておりますのでご参照ください。
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