個人再生の予納金はいくら?裁判所と個人再生委員の報酬をまとめて解説

個人再生

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個人再生における予納金とは、裁判手続きの申立時に裁判所に支払う費用で手数料や官報公告費などに充当されることになります。

個人再生を申し立てようにも予納金の支払いができなければ裁判所は許可決定を出すことはありません。従って、事前に予納金を準備することは必須と言えます。加えて、個人再生委員が選任される場合は、個人再生委員の報酬も支払う必要が出てきます。

上記の通り、個人再生をする際に必要となる予納金や個人再生委員の報酬が一体いくらなのか?気になる疑問について解説を行いたいと思います。

個人再生の実施には予納金の納付が必須

個人再生の許可決定を裁判所から受けるためにはいくつかの条件がありますが、その中の1つに「予納金の納付」が含まれます。

次の各号のいずれかに該当する場合には、裁判所は、再生手続開始の申立てを棄却しなければならない。
  1. 再生手続の費用の予納がないとき。
  2. 裁判所に破産手続又は特別清算手続が係属し、その手続によることが債権者の一般の利益に適合するとき。
  3. 再生計画案の作成若しくは可決の見込み又は再生計画の認可の見込みがないことが明らかであるとき。
  4. 不当な目的で再生手続開始の申立てがされたとき、その他申立てが誠実にされたものでないとき。

個人再生の予納金は①に該当しますので費用の内訳をお伝えさせていただきます。

個人再生の予納金

裁判所に支払う費用
  • 申立て手数料(収入印紙):10,000円
  • 官報公告費用としての予納金:12,000円
  • 予納郵券(連絡のための郵便切手代):4,000円~8,000円程度
再生委員に支払う費用
  • 個人再生委員に対する報酬:150,000円~250,000円

個人再生の条件を確認したい人は「個人再生の条件とは?該当する基準と種類から向いている人を解説」をご参照ください。

裁判所に支払う予納金

裁判所に支払う費用は、弁護士や司法書士に支払う費用とは関係なく誰もが必ず支払う必要がある費用になります。弁護士や司法書士に依頼する場合は「実費」として、報酬とは別に支払いが発生するでしょう。

費用項目としては、「申立て手数料」「官報公告費」「予納郵券」となり3万円程度の費用が発生すると覚えておきましょう。*裁判所によって費用が変動します。

個人再生を弁護士に依頼すると予納金の支払いを立替してくれるケースもあります。もちろん、まとめて清算されることになりますが、予納金が準備できない場合もまずは弁護士に相談することが望ましいと言えるでしょう。

個人再生委員に支払う報酬

そして、弁護士報酬を除く費用で大きい負担となるのが個人再生委員の報酬になります。

個人再生委員とは、個人再生が適正に行われるように指導・監督することを主な業務として裁判所から選任されるのです。東京地方裁判所では全ての個人再生案件で選任され、その報酬額は、代理人弁護士がいる場合は15万円、債務者本人(司法書士に依頼した場合も含む)が申立てる場合は25万円が相場になっています。

裁判所によっては、個人再生委員が選任されない場合もありますが、その場合は費用が発生しません。

個人再生委員への報酬は履行テストの一部から支払う|分割予納金

個人再生は減額された借金をしっかりと弁済することができるのかを確認するために「履行テスト」が実施されます。その際、毎月個人再生委員が指定する銀行口座に個人再生後の弁済額と同等の金額を振り込みすることになります。

これを分割予納金と呼びますが、個人再生委員の報酬は、予納金として振り込みした金額の一部から支払いを行うことになります。

従って、個人再生の申立て後、すぐに個人再生委員の報酬を支払う必要はありませんが、履行テストが開始されると毎月支払いが発生しますので事前に準備は必要になります。

履行テストの開始タイミング

履行テストの開始は、個人再生の申立てから1週間以内となります。従って、初回の分割予納金の支払いに備えて準備を進めておく必要があります。

履行テスト開始のタイミング

個人再生委員は、申立から1週間以内に分割予納金の支払いがあるか確認を行います。その後、3週間以内に裁判所に対して「開始決定に関する意見書」を提出します。

裁判所は、個人再生委員が提出した意見書から再生手続きを進めるか判断することになるです。

既にお分かりだと思いますが、1回目の分割予納金の支払いが出来ていないと、個人再生委員は裁判所に対して「再生計画の棄却」を意見書として提出することになるでしょう。

従って、個人再生を進めるためには分割予納金の支払いが必須と言えます。

履行テストは個人再生の手続き期間中も継続される

履行テストは初回の1度だけ支払いをすれば良い。という訳ではなく、履行テストが継続される6ヶ月間は一切の遅延なく支払い続ける必要があります。

万が一、履行テストに失敗してしまうと、再生委員との面談を経て、個人再生が棄却される可能性が高まります。

個人再生の手続き開始後の履行テスト

図解の通り、個人再生の手続きが開始されてから、個人再生委員が裁判所に意見書を提出するタイミングは「債権者による書面決議の前」と「再生計画の認可決定前」の2回となります。

1回目の「債権者による書面決議の前」に分割予納金を滞納している場合は、意見書によって「書面決議または意見聴取に付すことができない」と裁判所に報告されることになります。

2回目の「再生計画の認可決定前」に分割予納金を滞納している場合は、意見書によって「再生計画は不認可にすべき」と裁判所に報告されることになります。

上記の通り、分割予納金の支払いは決して滞納せずに支払う必要があります。

分割予納金は返還される

履行テストで支払う分割予納金は、個人再生委員の報酬を差し引き、差額は再生者に返還されることになります。

例えば、毎月の分割予納金が6万円であった場合は、36万円程度を支払うことになるでしょう。その内、個人再生委員の報酬15万円(債務者本人の申立は25万円)を引いた21万円が返還されることになります。

その際、弁護士を代理人に選任している場合は、弁護士に返還されることもあります。どちらにせよ、支払ったお金は返還されますので、しっかりと納付をしていることで個人再生後の弁済負荷が軽減することになります。

大阪地方裁判所や仙台地方裁判所の積立金とは?

東京地方裁判所以外の大阪地方裁判所や仙台地方裁判所などでは、個人再生委員が選任されないケースの方が大半と言えます。そのため、個人再生委員の報酬は発生しません。

しかしながら、履行可能性調査は実施する地方裁判所が多いことから、自分自身で弁済に必要な金額を積立し、積立口座のコピーを裁判所に提出することになります。

履行可能性調査で積立した分割予納金は、費用が発生することはありませんので天引きされることはありません。従って、積立したお金は全て再生計画の弁済に充当させることが可能になります。

また、大阪地方裁判所などは、「積立したお金は清算価値から除外できる」としていますので、受任通知後すぐに積立を開始しても個人再生の弁済額が増加することもありません。

まとめ

個人再生の予納金について解説を行いました。

個人再生の予納金は、おおよそ3万円程度となり、個人再生委員の報酬は15万円〜25万円と見積もっておきましょう。その他、弁護士に個人再生の代理人なってもらう場合は、30万円〜60万円程度の費用が発生することになります。

とは言え、個人再生の手続きは非常複雑であることから弁護士に依頼することが望ましいと言えます。

その際、個人再生に強いおすすめ弁護士事務所を「2019年版|個人再生の評判が良いおすすめ弁護士事務所を5社まで厳選」にてまとめておりますのでご参照ください。

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