個人再生は借金を最大1/10まで減額できる債務整理の1種になります。大きく借金を減額できる一方で、誰もが利用できる。という訳ではない点に注意が必要です。
また、借金を減額することに気を取られてしまいますが、人によっては任意整理や自己破産の方が向いている場合もあります。そのため、自分自身が個人再生をするべきか否かも判断する必要があります。
そこで今回は、個人再生を利用できる人の条件と向いている人について解説を行いたいと思います。
Contents
個人再生に向いている人
はじめに、個人再生をした方が良い人はどのような状況に置かれる人なのか?個人再生が向いている人からお伝えをしたいと思います。
- 住宅ローンが残る住宅を保有しているが手放したくない人
- 多額の借金(5,000万以下)があるが、収入は安定していることから減額できれば完済できる
- 自己破産では免責されない可能性がある人(ギャンブルや風俗で出来た借金など)
上記の通り、個人再生は、住宅を守りながら借金を大きく減額することが出来る制度になりますので、任意整理では完済が見込めない人や自己破産では免責が受けられない人が活用することになるでしょう。
それでは、実際にどのような人が個人再生を利用出来るのか条件について解説を行います。
個人再生の条件
個人再生は自己破産とは異なり借金が免責(借金が無くなること)される訳ではありません。従って、減額された借金を3年かけてしっかりと返済する能力を有していることが大前提必要になる。という訳です。
また、個人再生には、「小規模個人再生」と「給与所得者等再生」の2種類がありますので、それぞれ該当する利用条件についてお伝えしたいと思います。
小規模個人再生の条件
小規模個人再生を利用できる人は、主に自営業者になりますが会社員や公務員の人も対象になります。
- 住宅ローンを除いた借金総額が5,000万円以下であること
- 将来に渡って継続的、または反復的に収入が見込めること
- 過半数債権者の不同意がないこと
給与所得者等再生の条件
続いて、給与所得者等再生を利用できる人は、給与所得者が対象になりますので、会社員や公務員であることが一般的です。そのため、収入が不安定な自営業者は利用できない場合があります。
- 住宅ローンを除いた借金総額が5,000万円以下であること
- 将来に渡って継続的、または反復的に収入が見込めること
- 定期的な収入の幅が小さいと見込まれること
継続した収入を得る見込みとは?基準を解説
さて、個人再生の条件には、「将来に渡って継続的、または反復的に収入が見込めること」と言う一文が必ず含まれていることにお気づきになると思います。
「継続した収入を得る見込み」と言われると、会社員や公務員の人は想像しやすいものの、個人事業主、アルバイト、年金受給者、生活保護受給者の人は個人再生が出来るのか?悩ましいポイント言えます。
そこで、主たる収入別に個人再生の条件を満たすことが出来るのか解説を行います。
個人事業主の場合
個人事業主は、事業の業績次第で大きく収入が変動するリスクがありますが、3ヶ月に1度の割合で再生計画に則った弁済が出来るのであれば「継続的な収入がある」と認めてもらうことが可能です。
アルバイトの場合
アルバイトは、同じ勤務先で長年働いている場合は「継続的な収入がある」と認められる可能性が高いと言えます。
一方で、短期のアルバイトを転々としている場合は、「継続的な収入がある」とは言えず、個人再生が認められない可能性が高いと言えるでしょう。
年金受給者の場合
年金受給者は、生涯年金を受け取り続けることが出来るため「継続的な収入がある」と認められるでしょう。
ただし、障害年金のように、病気や怪我が回復すると支給が停止してしまう場合は、「継続的な収入がある」とは認められない可能性が高まります。
この点については、障害の程度によって継続的な支給が見込めるか否かが分かれますので、個別判断で対応する必要が出てきます。
生活保護受給者の場合
生活保護受給者は、個人再生を利用することが出来ません。
生活保護を受給するということは、最低限度の生活を維持する収入しか手元にない。と言えますので、個人再生で減額できた借金を返済することが出来ないと判断されるためです。
返済が免除されるハードシップ免責の条件
ここまで、個人再生の条件について解説を行いましたが、減額された借金は3年以内に返済することが原則となっております。とは言え、3年間も返済を続けていると、様々な事情から借金の返済が全く出来なくなる可能性もあります。
このような時に、「ハードシップ免責」と呼ばれる、借金の返済を免除することが出来る制度を活用することで借金をゼロにすることも可能になります。
そこで、ハードシップ免責の利用条件についても合わせてお伝えさせて頂きます。
- 返済者の責任ではない事情で支払いが難しくなった場合
- 減額された借金を1/4以上を返済している場合
- 免責しても債権者の一般の利益を反さない場合
- 返済計画の変更では完済出来ない場合
まとめ
個人再生の利用条件について解説を行いました。
会社員や公務員など安定した収入が見込める場合で、借金総額が5,000万円以下(住宅ローン除く)であれば、基本的には個人再生を利用することが可能と言えます。
一方、個人事業主やアルバイトの人は、個人再生が利用できるかは判断が分かれる可能性もあります。そのため、まずは、弁護士に相談し返済方法について協議することをおすすめします。