借金の返済が難しい人を救済する制度に「債務整理」がありますが、債務整理には「任意整理」「個人再生」「特定調停」「自己破産」の4つの方法があります。
その際、収入もなく財産も無いような場合は、「自己破産」一択となりますが、借金の減額さえできれば返済ができる人は「任意整理」と「個人再生」のどちらを選択すべきか悩ましい問題と言えます。
そこで今回は、「任意整理」と「個人再生」のどちらを選択するべきなのか?向いている人をそれぞれ解説したいと思います。
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債務整理の実績が豊富で費用が安い法律事務所。全国に出張対応してくれるため遠方にお住いの人でも対面相談が可能。契約前の相談は何度でも無料なので安心して問い合わせが可能。
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Contents
個人再生と任意整理はどちら?向いている人を解説
個人再生と任意整理ではどちらを選択するべきなのか?悩んでいる人に向けて、早速結論からお伝えしたいと思います。また、記事後半では、それぞれの制度でどのような違いがあるのかも解説しておりますので合わせてご確認ください。
個人再生が向いている人
個人再生が向いている人は、以下の2点に該当する人になります。
- 多額の借金を抱えている人:500万円までの借金は100万円に減額可能
- 給与差し押さえなど強制執行の対象になってしまった人:強制執行の中断が可能
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任意整理が向いている人
任意整理が向いている人は、以下の4点に該当する人になります。
- 借金が減額できれば完済が見込める人:目安は300万円以下程度の借金
- 家族や職場にバレずに借金を減額したい人:他人バレることは”ほぼない”と言える
- 法律事務所に出向く回数を極力少なくしたい人:依頼後は一度も訪問の必要なし
- 債務整理の対象外にしたい借金がある人:保証人付きの借金などを除外することが出来る
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個人再生と任意整理の違いを解説
個人再生も任意整理も借金を減額できる。という点では同じですが、細かな部分で制度が異なりますので双方の違いを解説をしたいと思います。
比較項目 | 任意整理 | 個人再生 |
借金の減額 | 利息引き直し計算+過払い金請求 | 最低弁済額の基準が適用*1 |
裁判所への申立有無 | 不要 | 必要 |
債権者の選択 | 選べる | 選べない |
強制執行の中断 | 中断できない | 中断できる |
職業上の欠格事由 | 当たらない | 当たらない |
信用情報機関への登録 | 5年 | 5年〜10年 |
官報への掲載 | 掲載されない | 掲載される |
住宅ローン | 残せる | 条件付きだが残せる |
自動車ローン | 残せる | 残せない |
費用 | 安い | やや高い |
手続き期間 | 6ヶ月程度〜9ヶ月程度 | 6ヶ月〜12ヶ月 |
バレやすさ | バレにくい | バレやすい |
個人再生と任意整理の違い1.借金減額方法
個人再生は、法的な拘束力を有することから任意整理(裁判所を介在させないため手続きは容易だが法的拘束力はない)よりも大きく借金を減額させることが可能になります。
その際、個人再生は借金の金額によって減額できる額が決まっておりますので以下をご参照ください。
- 借金が100万円未満:全額弁済
- 借金が100万円以上500万円以下:100万円のみ弁済
- 借金が500万円超え1500万円以下:1/5のみ弁済
- 借金が1500万円超え3000万円以下:300万のみ弁済
- 借金が3000万円超え5000万円以下:1/10のみ弁済
上記より、借金500万円までは一律100万円まで減額することが可能になります。
一方、任意整理は、弁護士や司法書士が債務者の代理人となり債権者と減額できる金額を交渉することになりますので、いくら減額できるかは、その都度変動すると理解しておきましょう。
その際、任意整理で借金がいくら減額できるか知りたいは「借金減額診断」を活用することで簡単に減額金額を調べることができます。
個人再生と任意整理の違い2.裁判所への申立有無
任意整理は弁護士や司法書士が債権者と”直接”減額交渉を行いますので裁判所は介在しません。そのため、手続きは債務整理の中でも最も簡易と言えるでしょう。
一方、個人再生は民事再生法に則り減額金額を決定することから、裁判所が介在することになります。そのため、手続きは非常に複雑であり長期に及びます。
その際、司法書士では、代理人として取り扱える業務に制限がありますので、基本的には弁護士に依頼する方が良いでしょう。
、項目 | 弁護士 | 司法書士 |
書類作成業務 | ○ | ○ |
裁判所とのやり取り | ○ | × |
裁判所への出頭 | ○ | × |
債務制限 | 制限なし | 1社140万円未満 |
個人再生と任意整理の違い3.債権者の選択
任意整理は、借金を減額する債権者を選択することが可能になります。
例えば、消費者金融からの借り入れは全て減額対象としながらも、会社からの借り入れや自動車ローンは任意整理の対象外とすることで、会社にバレずに借金を減額させたり、車などの資産を守ることが可能になるのです。
一方、個人再生は原則全ての借金が減額対象となりますので、会社の借金も自動車ローンも全て個人再生の対象になります。これによって、会社に借金をしている事実がバレることになりますし、車などの資産も手放す必要が出てきます。
しかしながら、住宅ローンに関しては、任意整理も個人再生も両方とも対象外にすることが可能です。
任意整理は、単純に減額対象外にするだけですので疑問はないと思いますが、個人再生の場合は、「住宅ローン特別条項」を適用させることで住宅を守ることが可能になるのです。
詳しくは「個人再生後も住宅ローンを継続できる住宅ローン特別条項を徹底解説」をご参照ください。
個人再生と任意整理の違い4.強制執行の中断
強制執行とは、「動産・不動産・有価証券・預金・給与」など、あらゆるものを差し押さえ対象にすることが可能ですが、既に借金を滞納し給与が差し押さえされている人は、個人再生で強制執行を中断することが可能になります。
少し詳しく解説すると、「個人再生手続き開始決定」が出ると強制執行の差し押さえは中断されます。そして、個人再生の手続きが終了すると、差し押さえ分の給料はまとめて受け取ることが出来るのです。
任意整理では、強制執行を中断させることが出来ませんので、既に、強制執行で給与等が差し押さえされている人は、個人再生を選択した方が良いでしょう。
個人再生と任意整理の違い5.官報への掲載有無
官報とは国が発行する新聞のようなものですが、「法律、政令、条約などの交付」「国会や皇室に関する情報」「一定以上の役職についている公務員の人事異動」「裁判所が出す決定」「会社の合併や決算」などが掲載されております。
では、個人再生をした人は官報にどのような情報が掲載されるのか確認してみましょう。
- 債務者の住所
- 債務者の氏名
- 個人再生がなされた日付
- 個人再生の理由の要旨
- 裁判所名(個人再生の申立をした裁判所名)
任意整理は裁判所を介在させないことから官報に掲載されることはありません。とは言え、官報の掲載内容は、私たち一般市民向けに作成された物とは言い難いことから、「一度も官報を見たことがない」という人の方が圧倒的に多いと言えます。
個人再生と任意整理の違い6.費用
任意整理と個人再生では、個人再生の方が手続きが複雑であり長期間に及ぶため費用が高い傾向にあります。そこで、任意整理と個人再生でどの程度の費用が発生するのか相場をお伝えしたいと思います。
債務整理の種類 | 任意整理 | 個人再生 | 自己破産 | 過払い金 |
相談料 | 5千円/30分 | 5千円/30分 | 5千円/30分 | 5千円/30分 |
着手金 | 2万円〜4万円/社 | 30万円〜60万円 | 20万〜40万円 | 2万円/社 |
報奨金 | 2万円〜4万円/社 | 20万〜40万円 | ||
減額報酬 | 10% | 交渉:20% 訴訟:25% |
個人再生と任意整理の違い7.個人信用情報機関への登録
任意整理も個人再生も個人信用情報機関に事故情報(通称:ブラックリスト)が登録されることになります。事故情報が登録されると、クレジットカードや住宅ローンの契約が出来ないなど日常生活に影響を与えてしまいます。
ただし、借金を完済してから一定期間が経過すると、事故情報は削除されますので、以降は、クレジットカードや住宅ローンの契約も進めることが可能になります。
それぞれ、個人信用情報機関から事故情報が削除されるまでの期間をお伝えします。
個人信用情報機関名 | 任意整理 | 個人再生 |
株式会社日本信用情報機構(JICC) | 5年 | 5年 |
株式会社シー・アイ・シー(CIC) | 掲載されない | 掲載されない |
全国銀行個人信用情報センター(KSC) | 5年 | 10年 |
上記のように、任意整理であれば5年を経過すれば事故情報が削除されますが、個人再生の場合は、最長で10年間も事故情報が削除されない点は大きな違いと言えるでしょう。
まとめ
個人再生と任意整理の違いを解説しました。最後に要点だけ改めてまとめさせていただきます。
- 多額の借金を抱えている人:500万円までの借金は100万円に減額可能
- 給与差し押さえなど強制執行の対象になってしまった人:強制執行の中断が可能
- 借金が減額できれば完済が見込める人:過払い金があれば完済できる可能性もあり
- 家族や職場にバレずに借金を減額したい人:他人バレることはほぼないと言える
- 法律事務所に出向く回数を極力少なくしたい人:依頼後は一度も訪問の必要なし
- 債務整理の対象外にしたい借金がある人:保証人付きの借金などを除外することが出来る
上記の通り、自分自身に最適な債務整理の方法を選択しましょう。その際、「2019年版|債務整理におすすめの弁護士と司法書士を8社まで厳選」ではフローチャートからご自身に合う債務整理の方法を見つけることも出来ますのでご確認頂ければと思います。