個人再生を行うと個人信用情報機関に事故情報が5年〜10年登録されるだけでなく、国が発行する「官報」(新聞のような物)にも情報が掲載されることになります。
個人信用情報機関に事故情報が登録されると、クレジットカードや各種ローンが契約できないことはご存知の方も多いと思いますが、官報に情報が掲載されるとどのような影響があるのか?そもそも官報とは何か?疑問に感じることだと思います。
そこで今回は、個人再生をして官報に掲載された場合の影響について解説を行いたいと思います。
Contents
個人再生をすると官報に掲載される
個人再生をすると小規模個人再生でも給与所得者等再生でも官報に掲載されます。
官報は国が発行する新聞のような物になりますが、購読料として1ヶ月3,641円(本体価格+消費税+送料)が発生する有料媒体となります。また、インターネットから閲覧する場合は30日分までは無料で解放しております。
とは言え、官報の掲載内容は、私たち一般市民向けに作成された物とは言い難いことから、「一度も官報を見たことがない」という人の方が圧倒的に多いと言えます。
官報の掲載内容
官報の掲載内容は、「法律、政令、条約などの交付」「国会や皇室に関する情報」「一定以上の役職についている公務員の人事異動」「裁判所が出す決定」「会社の合併や決算」などが掲載されることになります。
このように、一般の人はあまり興味がない内容と言えるでしょう。さて、個人再生をすると官報にはどのような情報が掲載されるのか内容を確認してみましょう。
- 債務者の住所
- 債務者の氏名
- 個人再生がなされた日付
- 個人再生の理由の要旨
- 裁判所名(個人再生の申立をした裁判所名)
上記の通り、官報を閲覧すれば誰がいつなぜ個人再生をしたのか判別が付くと言えます。
官報に掲載されるタイミング
個人再生をした場合に官報に掲載されるタイミングは全部で3回あります。
官報に掲載されるタイミング.1回目
官報に掲載される1回目のタイミングは、個人再生の開始決定が裁判所に認可された時になります。個人再生の申し立てから1ヶ月程度を目安にしておきましょう。
ただし、申し立てから必ず1ヶ月後に掲載されるという訳ではなく、書類の不備・不足などがある場合や裁判所の繁忙期によって掲載タイミングが遅れる場合もあります。
官報に掲載されるタイミング.2回目
官報に掲載される2回目のタイミングは、小規模個人再生の場合、再生計画案に対して債権者が反対を述べる機会を提供するために掲載されます。
また、給与所得者等再生は、手続きへの反対が出来ないため、再生債権者の意見聴取を行う旨の決定がなされたとき官報に掲載されることになります。
官報に掲載されるタイミング.3回目
官報に掲載される3回目のタイミングは、再生計画案を裁判所が認可した時に掲載されます。再生計画案の官報掲載からおおよそ2週間で個人再生の手続きは完了し弁済が開始することになります。
官報に掲載されると家族・知人・職場にバレる?
官報に3回も掲載されると「家族・知人・職場」にバレてしまうのではないか?と不安に感じる人も多いと思いますが、結論、官報に掲載されても個人再生をした事実がバレることは極めて低いと言えます。
と言うのも、官報は有料の物になりますので、お金を払ってまで官報を閲覧するメリットはほとんど無いと言えます。そのため、毎日官報をチェックするような人はほとんどいないでしょうから「家族・知人・職場」にバレる可能性は極めて低いと言えます。
では、「一体誰が官報をチェックしているのか?」と疑問に感じることでしょう。
基本的に官報を閲覧している人は、金融機関、市区町村役場、税務署、個人信用情報機関、不動産関係、警備会社、保険会社の担当者が中心になります。
そのため、上記の仕事に該当する人が個人再生をすると希にバレてしまう可能性は否定できません。
しかしながら、「偶然、官報を閲覧する職場で再生債務者のことを詳しく知る人がいる場合にバレる。」と言うことなので、やはりバレる可能性は低いと言えるでしょう。
官報の掲載情報はインターネット検索で見つけられてしまうのか?
官報はインターネットでも閲覧することが可能になります。そのため、「氏名や住所を入力することで過去に個人再生をした事実が検索できてしまうのではないか?」と不安に感じる人もいることでしょう。
確かに、官報を1つ1つ調べて行けば個人再生をした事実を調べることは可能と言えますが、インターネットで官報を無料閲覧できるのは30日分までとなりますので、この期間を過ぎると有料課金をして調べる必要が出てきます。
「googleの検索結果に表示されないのか?」と不安に感じる人もいると思いますが、有料情報は検索結果に表示されませんので、意図的に有料会員にならなければ調べることはできないでしょう。
このように、個人再生をした事実をインターネットで調べることは不可能ではないが、簡単に見つけることは出来ないと言えます。従って、このリスクと多重債務で日々督促に追われ続ける日々を天秤にかければ個人再生をした方が良いでしょう。
官報に掲載されるデメリット
「個人再生をして官報に掲載されても周囲にバレないとなるとデメリットは無いの?」と疑問に感じる人も多いでしょう。結論、官報に掲載されるだけであれば大きなデメリットはありません。
ただし、ヤミ金業者から営業される可能性がある。と言う点はデメリットになります。
個人再生をすると個人信用情報機関に事故情報が登録されることから5年〜10年は借り入れをすることが出来ません。その際、「ブラックOK」などの広告でヤミ金から営業される可能性があります。
もちろん、ヤミ金から借り入れをしなければ大きな問題にはなりませんが、金銭的に困っている状態であることから誘惑に負けないようにしましょう。
官報に掲載された情報は削除出来るのか?
官報に掲載された情報は国立国会図書館にて永久保存されることから削除することは不可能になります。
誤った情報が掲載された場合は、訂正の文章が新たに掲載されるだけでになりますので”やはり”削除することは出来ませんので諦めるしか方法はありません。
しかしながら、官報に掲載された情報が削除出来なくても、個人信用情報機関の事故情報は5年〜10年で削除されることから、クレジットカードの新規契約や各種ローンの申し込みは可能になります。
従って、日常生活に影響を与える期間は限定的になりますので前向きに再建の一歩を踏み出した方が得策と言えるでしょう。
官報に掲載されたくない場合は任意整理を検討
ここまで、個人再生をした場合に官報に掲載される影響をお伝えしてきましたが、「どうしても官報に掲載されては困る」という人も少なからずいることだと思います。
このような人は、裁判所を介在させずに債権者と和解交渉を行う任意整理がおすすめです。任意整理は、弁護士や司法書士が債権者と交渉し利息の引き直し計算や将来利息のカットを行い借金を減額させる債務整理の1つになります。
個人再生よりも減額できる金額は少なくなりますが、それでも、官報に掲載されない点や事故情報の登録期間が5年と個人再生よりもデメリットが少ない点が特徴です。
任意整理について詳しく知りたい場合は「任意整理のメリットとデメリットを徹底比較!向いている人の条件とは?」を合わせてご参照ください。
まとめ
個人再生をして官報に掲載された場合の影響について解説を行いました。
官報に掲載されても周囲にバレる可能性は極めて低いと言えますが、金融機関、市区町村役場、税務署、個人信用情報機関、不動産関係、警備会社、保険会社の担当者は官報を確認していることから職業的に避けた方が良いケースもあります。
このような時は、任意整理で借金を減額できれば官報に掲載されることはありませんのでリスクヘッジとなるでしょう。
とは言え、まずは、一刻も早く督促に苦しむ毎日から脱却した方が良いと言えますので、以下の地域別の法律事務所から自分に合う弁護士または司法書士を見つけるようにしましょう。